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ムクウェゲ医師ノーベル平和賞受賞にコメント発表

デニ・ムクウェゲ医師のノーベル平和賞受賞に際して

コンゴの性暴力と紛争を考える会(ASVCC)

 コンゴの性暴力と紛争を考える会(ASVCC、2016年設立)は、コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)の婦人科医・人権活動家のデニ・ムクウェゲ医師が2018年のノーベル平和賞を受賞されたことに、心より喜び申し上げます。

 ASVCCは、コンゴにおける紛争と性暴力および住民への人権侵害に関する研究に加えて、ムクウェゲ医師の活動を描いたドキュメンタリー映画「The Man who Mends Women」(2015年、ベルギー制作、邦題『女を修理する男』)に日本語字幕を付けて2016年度に日本全国で上映キャンペーンを行いました(2018年3月にUnited Peopleより日本語字幕付きDVDとして発売しております)。2016年10月には東京大学および笹川平和財団との協力により、ムクウェゲ医師の来日講演会を実現しました。その後、年に数回のセミナー開催を通じて日本のみなさまに支援の輪が広がっていることを実感しています。

 コンゴにおける紛争下の性暴力は、コンゴだけの問題ではありません。コンゴ東部で産出される鉱物資源が電子機器の原料となって日本を含む世界各地の人々の生活に便利さをもたらす一方で、産出地域においては住民に対する人権侵害の原因となり、性暴力が「紛争の武器」として使われています。コンゴにおける性暴力を止める責任は、日本の政府・企業・一般市民にもあると私たちは認識しています。さらに、コンゴに限らず世界で起きている紛争下の性暴力は、人間の尊厳に関わり人類共通の問題です。

 ASVCCは、今回のノーベル平和賞が、日本における関心の高まりをもたらすのみならず、コンゴにおける性暴力を止めるための具体的な活動が始まるきっかけとなることを切に願い、研究・啓発発動を続けていきます。

コンゴの性暴力と紛争を考える会

代表 米川正子

副代表 華井和代

【コンゴ出身の経済学者ジャン=クロード・マスワナ(ASVCCアドバイザー)のコメント】

 ムクウェゲ医師に授与されたノーベル平和賞は、たとえ、性暴力を含めたあらゆる暴力による苦しみがコンゴに長い夜をもたらしているとしても、この地平線の先には明るい光があることを示唆しております。

 医師は以下のように述べておられます。

「我々の闘いが認識されている今、我々は補償を求めています」

 医師によれば、自身の闘いを認識するだけでは不十分であり、より重要なのは、性暴力の被害者に対する補償です。ムクウェゲ医師は、暴力の被害者たちに未来を取り戻させる手助けとして、彼らの基本的なニーズに応えることにすべての人が関わることを求めています。ムクウェゲ医師と、このノーベル平和賞に献身的な努力をしたすべての人々を祝福しながら、私たちの世界をより人間的なものにするために、彼と手を取り合いましょう。

 ムクウェゲ医師は、偉大なる人類を構成するすべてのもの、すなわち安全保障、自由、尊厳を守ってきました。医師は性的暴力の被害者を癒しながら、人間性を破壊するすべてのものを糾弾しています。彼は被害者を癒すために、コンゴ人だけでなく、より明るい人類の出現のために絶えず取り組んできました。医師は自身の活動において、日本の人々の支持を獲得しました。今回の認識は、共通の価値観と共通の運命によって得たものだととみなされるべきです。今年のノーベル平和賞が授与されたことを知った後で、改めてムクウェゲ医師の上記の言葉を振り返る必要があります。

2018年10月7日

ジャン=クロード・マスワナ

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